ウインドリバー、RTX傘下のCollins Aerospaceによる完全に機能を有効化した マルチコアプロセッサに対する史上初のFAA技術基準命令(TSO)取得を支援

ウインドリバー、RTX傘下のCollins Aerospaceによる
完全に機能を有効化した
マルチコアプロセッサに対する
史上初の
FAA技術基準命令(TSO)取得を支援

MAY 1 2025 • 航空宇宙・防衛

Collins Aerospaceのマルチコアプロセッサでは、複数のコアがすべての設計保証レベルでアプリケーションを同時に実行できます。米国連邦航空局(FAA)は、このようなシステムに対して初めて技術基準命令(TSO)を認可しました。これにより、飛行に重要なアプリケーションを再認証なしで、新しい機能を将来の航空機に組込むことが可能になります。

汎用マルチコアプロセッサアーキテクチャの導入は、組込みシステムの性能を大幅に向上させます。しかし、安全性が重要視されるアビオニクスシステムには、アプリケーションの隔離や決定論性といった特有の要件があります。例えば、複数のアプリケーションを別々のコアで同時に実行すると、マルチコア干渉が発生し、動作解析やアプリケーションの最悪実行時間の把握が難しくなります。これらは、航空機の耐空性を判断する上で重要な要素です。

従来の民間アビオニクスソフトウェアシステムは、単一のプロセッサ上で動作するモノリシックなシステムで、航空機が実現できる機能に制限がありました。RTXの事業部門であるCollins Aerospaceは、これらの制限を解決するため、設計保証レベル(DAL)の異なる複数の機能を単一のシステムオンチッププロセッサ上で安全に実行できるマルチパーティション型オペレーティングシステムを開発し、認証を取得しました。

ウインドリバーのお客様であるCollins Aerospaceは、数々の成果の中でも、消費電力を犠牲にすることなく
大幅な性能向上を実現する、この新たなマルチコアプラットフォームに関する重要な認証を取得しました。

VxWorks 653 v3.0.1.1は、Collins AerospaceがマルチコアアビオニクスシステムにおいてFAA初の技術基準命令(TSO)認証を取得する上で、重要な役割を果たしました。このマイルストーンは、ソフトウェア定義アビオニクスにおける大きな進展を意味し、メーカーはマルチコア処理を活用することで性能を向上させ、サイズ、重量、電力(SWaP)の削減を実現し、将来のミッション機能に柔軟に対応できるようになります。これは、モジューオープンシステムアプローチMOSA)の原則に沿ったものであり、認証ライフサイクル全体でコストを大幅に削減します。

FAATSOは、特定の装備品及び部品等に対する最低限の性能基準を定めています。各TSOは、特定の型式の装備品及び部品を対象としています。TSO許可は、装備品及び部品等が特定のTSOに適合し、申請者がそれを製造することを許可するものです。Collins Aerospaceによると、飛行に重要なアプリケーションの再認証が都度不要なため、新しいミッションシステム機能は数週間で統合可能となり、従来の方法では数ヶ月以上かかっていた期間が大幅に短縮されます。

DO-178C DAL A要件およびFAA AC 20-193マルチコアガイドラインに準拠して設計されたVxWorks 653は、MOSA準拠、ハードリアルタイム決定論性、ARINC 653パーティショニング、およびマルチコア干渉軽減機能を提供し、安全でスケーラブルかつ高性能なアビオニクスアプリケーションをサポートします。この技術は、Wind River Helix Virtualization Platformの基盤となっており、お客様はAC 20-148の再利用可能ソフトウェアコンポーネントの認証取得や、DO-297準拠した統合モジュラーアビオニクスプラットフォーム機能を最新のハードウェア上で利用できます。

VxWorks 653Helix Platformを基盤としたモジュラープラットフォームアプローチは、機能追加が容易で、プラットフォーム全体を再認証する必要がありません。異なるベンダーやオープンソースディストリビューションを含む複数のゲストオペレーティングシステムをサポートすることで、既存アプリケーションの柔軟な活用と再利用が可能になります。これにより、MOSAの重要な原則の一つであるベンダーロックインの回避も実現できます。

業界が認証可能なマルチコアアーキテクチャへの移行を進める中、ウインドリバーは最前線に立ち続け、将来を見据えたモジュラアビオニクスソリューションのソフトウェア基盤を様々な業界に提供しています。

より詳細な技術情報については、Collins Aerospaceのマルチコア認証アプローチに関するホワイトペーパーをご確認ください。このホワイトペーパーでは、元の共同開発プロジェクトの概要がまとめられています。