最先端の現場から:パート4
ロボットドクター

手術室で活躍するロボット 19

執刀医自身の手技よりも高い巧緻性、可動域の広さ、緻密な操作が求められる外科手術では、何百万ドルもするロボット機器が使われます。皮膚や組織の切開、縫合、開創などはロボットが支援しますが、執刀するのはあくまでも外科医です。シンガポール国立大学のベンジャミン・ティー博士は、映画スターウォーズ「帝国の逆襲」のワンシーンに魅了されてきました。ダース・ベイダーがライトセーバーで切り落としたルーク・スカイウォーカーの腕に、外科医ドロイドが義手を移植するというシーンです。

「完全自律型のロボット外科医は究極の目標ですが、まだ何年もかかるでしょう」とは言うものの、人間による管理監督を最小限に抑えて外科手術を遂行できるデバイスの開発を他の研究者と共同で進めており、直近ではロボットに触覚を与える人工皮膚の開発プロジェクトに取り組んでいます。ロボットが触覚をもつことで、健康な組織と腫瘍部分を識別し、腫瘍を切除できます。他にも、機械学習やAIを活用して軟組織を回避可能な低侵襲手術支援ロボットの研究が進行中です。

完全自律型の手術ロボットは今のところ、SFの世界にしか存在しません。しかし、いずれは人間より迅速かつ正確に、特定の外科手術を実行できそうな兆しは見え始めています。ジョンズホプキンス大学でロボット研究に携わるアクセル・クリーガー教授は、「正確性と反復性こそ、ロボットが最も得意とするものです。人間と違って疲れることもありません」と話します。

robot

SFから現実へ:外科ドロイドがルークに義手を移植するというスターウォーズのワンシーンが現実になる日もそう遠くないだろう。