ai
インテリジェントエッジの原動力: Part 3
RTOSベースの
アプリケーション RTOSベースのアプリケーション

RTOSベースのアプリケーションは、以下のような最先端の取り組みの中核を担っています。

パーベイシブAI

オープンソースソフトウェア、クラウドコンピューティング、GPUやFPGAプロセッサなどのハードウェア要素を取り込んだ高度なシステムアーキテクチャのトレンドが重なることで、パーベイシブAIの加速が可能となります。また、RTOSが必要なシステムに最適な方法を実行するため、新しい機能をもたらすことになります。新世代のRTOSは、産業、小売、ヘルスケアなどの分野で採用される、その速度と応答性に制約のあるデバイスに、さまざまな機能を詰め込むことを可能にするものです。

パーベイシブAIの中核となるRTOSベースのアプリケーションは、景色や音、その他のパターンを認識して反応できるAI搭載のスマートデバイスの普及によりもたらされます。Deloitteのレポートによると、機械はますますエクスペリエンスから学び、変化する状況に適応し、結果を予測するようになります。また、ユーザーのニーズや要望を推測し、他のデバイスとの情報交換やタスクの分配、行動の調整を行い、コラボレーションを行うものも出てくるでしょう。クラウドだけにとどまらず、AIが組み込まれたこれらのインテリジェントデバイスは、インターネット接続に依存しないものになるでしょう6

また、エッジデバイス内で動作するAIをサポートするために、ローカルハードウェアアクセラレータが役立っています。AIは大量の演算能力を消費するため、GPU(General Processing Unit)やNPU(Neural Processing Unit)などのハードウェアアクセラレータがエッジデバイス内のAI処理をサポートします。「ローカルハードウェアアクセラレーションは、RTOS環境内で進行している最もエキサイティングなアーキテクチャ開発の1つです」とKoning氏は言います。「NPUやGPUを活用してAIアルゴリズムを加速し、それらのアクセラレータにデータを取り込むことができます。この強力なハードウェアにRTOSを展開することで、制御機能を実行されているリアルタイム環境との高速な相互接続が可能になります」こうした機能の恩恵を受けるアプリケーションの例としては、物体検出、異常検出、そしてニューラルネットワークの学習アルゴリズムが考えられます。

これらのエッジデバイスやシステムは、利点として応答時間の速さをもたらします。Deloitteによると、「解析のためにデータをクラウドに送信する際に発生するレイテンシーに悩まされることはありません。遅延が少なく、接続に依存しないため、車両ナビゲーションや一部のヘルスケアアプリケーションをはじめとする、接続が悪い場合でも瞬時に応答できる堅牢な性能を必要とする、あらゆる種類のアプリケーションが実現できます」

「ユーザーのニーズや要望を推測し、他のデバイスと情報を交換し、タスクを分配し、行動を調整することで協働できるデバイスがでてくるでしょう。クラウドだけにとどまらず、AIが組み込まれたこれらのインテリジェントデバイスは、インターネット接続に依存しないでしょう」
 
—Harvard Business Review、
Deloitte社
robotic industry
RTOSは、 インフラや信頼性が求められるミッションクリティカルなアプリケーションでよく使われています。AIへの期待が高まる中、これらの老朽化したシステムはどのようにその能力を活用し、次世代のシステムをどのように未来に備えていくのでしょうか。

Renesas Electronics Corporationの元バイスプレジデントで産業ソリューション事業部長の横田義和氏は、次のように述べています。「運用技術における障害検知や予知保全には、組込み型AIが欠かせません。任意のシステムやプロセスに異常が発生したとき、組込みAIは局所的かつリアルタイムに判断することができるのです」7

ウインドリバーの航空宇宙・防衛担当フィールドエンジニアリングディレクター、Paul Parkinsonは、次のように述べています。「従来は情報を処理してパイロットに提示し、パイロットが情報に基づいた判断を下せるようにしていた航空電子システムから、自ら知的判断を下すことができる自律型航空電子システムへ、さらには将来的にパイロットさえ不要になる可能性まであります。自律システムを支えるAIや機械学習の採用は、飛行機のコックピットに大きな変化をもたらすことを意味しています。例えば、リアルタイムアビオニクスシステムには、空港への着陸アプローチの際にパイロットを支援する、直感的な地形図の3次元ビューを提供する合成画像システムが組込まれています。これらのシステムは、パイロットに決定論的な低レイテンシ応答を提供するために、航空機に搭載されたローカル処理プラットフォームを使用して実装されています。また、超音速の軍用機が発するソニックブームの影響を評価し、航空機の航路を変更するための、オンボードRTOSを採用した技術も開発中です」8

robotic industry
RTOSは、 インフラや信頼性が求められるミッションクリティカルなアプリケーションでよく使われています。AIへの期待が高まる中、これらの老朽化したシステムはどのようにその能力を活用し、次世代のシステムをどのように未来に備えていくのでしょうか。

Renesas Electronics Corporationの元バイスプレジデントで産業ソリューション事業部長の横田義和氏は、次のように述べています。「運用技術における障害検知や予知保全には、組込み型AIが欠かせません。任意のシステムやプロセスに異常が発生したとき、組込みAIは局所的かつリアルタイムに判断することができるのです」7

ウインドリバーの航空宇宙・防衛担当フィールドエンジニアリングディレクター、Paul Parkinsonは、次のように述べています。「従来は情報を処理してパイロットに提示し、パイロットが情報に基づいた判断を下せるようにしていた航空電子システムから、自ら知的判断を下すことができる自律型航空電子システムへ、さらには将来的にパイロットさえ不要になる可能性まであります。自律システムを支えるAIや機械学習の採用は、飛行機のコックピットに大きな変化をもたらすことを意味しています。例えば、リアルタイムアビオニクスシステムには、空港への着陸アプローチの際にパイロットを支援する、直感的な地形図の3次元ビューを提供する合成画像システムが組込まれています。これらのシステムは、パイロットに決定論的な低レイテンシ応答を提供するために、航空機に搭載されたローカル処理プラットフォームを使用して実装されています。また、超音速の軍用機が発するソニックブームの影響を評価し、航空機の航路を変更するための、オンボードRTOSを採用した技術も開発中です」8

IoT

インテリジェントエッジは、ネットワークを介したデバイス、センサー、システム間の高度な接続性と相互作用によって構築されます。5Gネットワークの出現と成長は、イベントやコマンドにリアルタイムで応答するデバイスの能力を際立たせています。

パーベイシブAIに不可欠な要素であるIoT(Internet of Things)は、RTOSのデプロイメントにおいて不可欠になっています。例えば、EETimes/Embedded.comの調査により、開発者の50%が、家電や産業用制御・自動化などの従来のアプリケーションと並んで、RTOSの導入においてIoTイニシアティブのサポートを「極めて重要」または「重要」としていることが分かりました。また、15%がRTOS環境内でAI駆動型アプリケーションを構築していると回答しています。

例えば、PXiSE Energy Solutions社プレジデント兼CEOで、Sempra Energy社のインフラ・技術担当バイスプレジデント、Patrick T. Lee氏は、「電力業界では、ハードウェアに依存した旧式の電力網から、ソフトウェアベースのデジタルな電力網への移行が進んでいます。ソフトウェアとセンサーの組み合わせは、100年以上前の送電網技術を現代に蘇らせるものです。西オーストラリア州のグリッドプロジェクトでは、ソフトウェアベースのマイクログリッド制御装置でグリッド状況をミリ秒単位で監視し、1メガワットの太陽光発電所と2.5メガワットの蓄電池を効率的に利用できるように構築されています。ソフトウェアベースのコントローラーがネットワークのリソースを管理しています。マイクログリッドでは、太陽光発電や風力発電、蓄電池、化石燃料発電所などが、家庭や工場、企業に電力を供給しているのです。コントローラーは、マイクログリッド内の発電と負荷のバランスを継続的に調整し、メイングリッドへの接続を安定させています」と述べています9

robotic industry
電力業界では、 ハードウェアに依存した電力網からデジタル電力網への移行を促進する新たなプレーヤーが登場しています。

産業用ロボットの出現は、完全自動化工場への道を切り開くものとなるかもしれません。

自律システム

RTOSは、今日の産業を支える機械やシステムに対して、より高い自律性への道を開いています。 Bastiane Huang氏の最近の分析によると、産業用ロボットの出現は完全自動化工場への道を開くが、より高いレベルの器用さと自律学習能力が必要とされるとのことです。例えば、機械学習は 人間の介入の必要性を減らし、エンジニアがプログラムを書き換えなくても、ロボットが新しい部品を扱えるようにします。AIを活用することで、ロボットアームはより正確に奥行きを判断できるようになります。また、訓練によって学習し、コップが上向きか下向きか、あるいは他の状態かどうかを判断することができるようになります。オブジェクトのモデリングやビジュアライゼーションにより、3次元オブジェクトの予測や再構築を行うことができます10

「AIを活用することで、ロボットアームはより正確に奥行きを判断できるようになりました。また、トレーニングによって学習し、コップが上向きか下向きか、あるいは他の状態にあるのかを判断することができます。オブジェクトのモデリングやビジュアライゼーションにより、3Dオブジェクトの予測や再構築を行うことができます」
 
—Bastiane Huang氏
towards data science、アナリスト

マイクロソフトのAzure IoTシニアプロダクトマネージャー、Pamela Cortez氏は次のように述べています。「産業用ロボットは、エッジで多くの処理能力を必要とするかもしれません。負荷の高いワークロードを実行する可能性もあります。多くの場合、実際のデバイスのエッジ側でクラウドワークロードを実行する必要があり、デバイスにAIを導入するため、それをサポートできる高性能なデバイスが必要になります。そして、これらのデバイスの多く、特に最新のデバイス(小型デバイスから大型デバイスまで)は、おそらく何らかのオペレーティングシステムを必要とするでしょう」11

このような自動化は、工場の外にある産業機器にも見られます。露天掘り車両ソリューションのリーディングカンパニーであるBeijing TAGE Idriver Technology Co, Ltd.(以下TAGE)は、次世代の自動運転採掘車の実現に向けて必要な最先端のソフトウェアプラットフォームの開発をしています。このプラットフォームは、採掘労働者を保護するだけでなく、採掘企業全体の経済利益を大幅に向上させることができます。この自律走行システムソリューションは、インテリジェントクラウドプラットフォーム、テレマティクス、インテリジェントな自動運転採掘車を含むエッジトゥークラウドアーキテクチャをベースにしています。このソリューションを支えるソフトウェアプラットフォームには、RTOSとTAGEの中央制御装置(CCU)コアアルゴリズムモジュールが含まれています。自律走行車ドメインコントローラのCCUは、動作計画、車両制御、故障診断など、自動運転採掘車における中核機能の実装を担っています。これらの機能には、システム運用時のセキュリティ、安全性、信頼性、リアルタイム性、タスクの実行と切り替えの決定性など、厳しい要件があります。TAGEの最高技術責任者であるHuang Liming氏は、「次世代の採掘車への道を切り開くものになる」と話しています12

「AIを活用することで、ロボットアームはより正確に奥行きを判断できるようになりました。また、トレーニングによって学習し、コップが上向きか下向きか、あるいは他の状態にあるのかを判断することができます。オブジェクトのモデリングやビジュアライゼーションにより、3Dオブジェクトの予測や再構築を行うことができます」
 
—Bastiane Huang氏
towards data science、アナリスト