Wind River Linuxバイナリディストリビューションのご紹介

Apr 06, 2022 Linux

著者:Jay Kruemcke

ウインドリバーは、商用サポートを提供するWind River Linuxファミリーの新しいメンバーとして「Wind River Linux Distro」を発表しました。 DistroはバイナリLinuxディストリビューションであり、ウインドリバーのソースコードベースのLinux製品から作られています。

IoTや組込みOS業界のリーダーであるウインドリバーは、以前から、お客様のそれぞれの用途にあわせた専用のLinux OSをソースから作成することのできる製品をお客様に提供しています。 ウインドリバーはYocto Projectを起点として、半導体ベンダーSDKとの統合を大幅に強化することにより、インテリジェントエッジソリューションの開発者に向けた、商用サポートが提供されたLinuxディストリビューションを作成できる製品を実現しています。

Wind River Linuxは通信、産業、航空宇宙・防衛、自動車などの多くの組込みソリューションで利用されていますが、実際、すべてのお客様がソースコードからLinux OSをビルドする柔軟性を必要としているわけではないことがわかりました。

ウインドリバーのバイナリディストリビューションとは

Distroは、ウインドリバーが多大な投資をしている組込み機器のハードウェアとオープンソースソフトウェアを活用したいが、Linuxをソースコードから構築する時間と労力を省きたいと考えている開発者を対象とした製品です。

Distroは、ソリューションの開発者がバイナリイメージから、それぞれの用途にあわせたLinux OSを作成するためのアプローチを複数提供しています。 これらのアプローチには、最小構成からスタートし、セルフデプロイできるイメージや、Linux Assembly Tool(LAT)、dnfパッケージフィード、Docker Hub上のコンテナベースイメージ、そしてソフトウェア開発キット(SDK)が含まれます。

バグの修正とセキュリティのアップデートはセキュリティと安定性にとって重要です。Distroは、修正プログラムの配布や、最新リリースのイメージへとアップグレードができるOSTreeアップデートを提供しています。 ソリューションの開発者は、独自のイメージ、コンテナ、パッケージ、パッケージフィード、さらにOSTreeアップデートフィードを作成することができます。

ハードウェアサポート

幅広いハードウェアプラットフォームがサポートされていることは、常にWind River Linuxを採用することのメリットとされています。 ウインドリバーは半導体ベンダーからSDKを入手し、Wind River Linux のYocto Projectソースベースへ統合しています。 他のバイナリディストリビューションと異なり、DistroのハードウェアサポートはアップストリームのLinuxハードウェアに限定されおらず、ウインドリバーは最新の半導体ベンダーSDKを利用し、定期的にハードウェアサポートを更新しています。

Wind River Linuxバイナリディストリビューションは、2021年以降、いくつかのx86やArm®ハードウェアプラットフォーム向けに非サポートで無償版のダウンロードが可能となっています。

ウインドリバーは、昨年のWind River Linux LTS21の発売を機に、数千のイメージのダウンロードを可能にしました。

Wind River Linuxのソースベース製品と同様に、Distroは導入されたシステムに対して有償のサブスクリプションや製品出荷単位でのロイヤリティは不要です。Distroは、プロジェクト単位で提供されています。

Wind River LinuxとWind River Linux Distroでサポートされているハードウェア
図:Wind River LinuxとWind River Linux Distroでサポートされているハードウェア

今後、お客様のご要望を反映して、Distroの商用サポートのハードウェアプラットフォームを追加していく予定です。

正しいWind River Linuxの選び方

一般的にソースコードベースのWind River Linux製品は、卓越した柔軟性を備えており、再現性が高いことから、カーネルを含むLinuxの複雑なカスタマイズを必要とするインテリジェントエッジソリューションの開発に適しています。

一方、Distroは、Linuxカーネルのカスタマイズの必要性が低い場合、迅速なプロトタイピングとデプロイメントに最適です。また、一般的に、当社のYocto Projectベースのソース製品よりも大幅に少ないリソースですみます。

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無償版からはじめよう

Distroは、誰でも無料で試すことができます。 https://www.windriver.com/japan/products/linux/download にアクセスし、ユーザー情報を入力し、ハードウェアプラットフォームを選択すると、イメージとSDKへのリンクを取得できます。

Linux Assembly Tool (LAT)などのDistroツールの使い方を学べるクイックスタートガイドのDistro Developers Guide が提供されていますので、Distroの上に組み込みソリューションを構築する際にご参照ください。

まとめ

Wind River Linux Distroは、ソリューションの開発者が自社のインテリジェントエッジソリューションのためのLinux OSを手早く提供できる、真のバイナリディストリビューションです。 ソリューションの開発者は、無償版のDistroで製品開発向けに評価し、ソリューションをデプロイする際に、商用サポートに切り替えることも可能です。