顧客事例 三菱電機株式会社
三菱電機がウインドリバーを採用し、 エッジコンピューティングにインテリジェンスを提供 FAの装置制御・エッジコンピューティング向け最先端ソリューションにVxWorksを搭載
課題
装置のリアルタイム制御とエッジコンピューティングを単一 の筐体に統合
三菱電機は、シーケンサやレーザー加工機など、多数のFA分 野で国内トップクラスのシェアを擁し、世界市場でもFAシス テムの3大メーカーの一翼を担っています。2018年には、エ ッジコンピューティングのための初の産業用ハードウェア 「MELIPCシリーズ」を発表しました。MELIPCの開発目的は主 に2つあります。ひとつは、三菱電機が推進するエッジコンピ ューティングで稼動するハードウェアの必要性を満たすこと、 そしてもう一方は、装置制御用コントローラとして従来参入が 難しかったビジョン技術など先進技術と連携した高度な装置 制御分野へ参入することです。
三菱電機は、「Edgecross」の仕様策定や普及を推進する Edgecrossコンソーシアムの幹事役を務め、エッジコンピュ ーティングを業界規模で強力に推進しています。Edgecross は、企業・産業の枠を超え、コンソーシアム会員が共に構築 し、FAとITとの協調を実現するオープンなエッジコンピュー ティング領域のソフトウェアプラットフォームです。
「MELIPCシリーズ」は、Edgecrossを標準搭載したエッジ コンピューティングのための同社初のハードウェアです。 「MELIPCシリーズ」の最上位機種MI5000は、リアルタイム 制御を担保しながら、高速なデータ収集・処理・診断・フィ ードバックを単一の筐体に統合して、インダストリアルIoTシ ステムの構築コストの削減と省スペースを図るものです。そ れを実現するために、開発チームは、リアルタイム制御と実 績ある分析・診断アプリケーションを柔軟に統合できる、信 頼性に優れたプラットフォームを必要としていました。
アプローチ
Wind River VxWorksと仮想化テクノロジ
三菱電機は、MI5000の制御プラットフォームとしてFAでは 不可欠な制御性能を確保できるVxWorks®リアルタイムOS を採用しました。VxWorksにより、MI5000は、装置のリア ルタイム制御とエッジコンピューティングを単一の筐体で 実現しました。高速なCPU性能と高いリアルタイム性能の 融合により、リアルタイム制御を担保しながらIoT機器か らのデータ収集、エッジアプリケーションによるデータ分 析解析を容易かつ高速に実行することを可能にしました。
MI5000には、ウインドリバーのリアルタイム向け仮想化テク ノロジも搭載されています。「従来からのVxWorksへの品質に 対する信頼性から、Virtualization Profile for VxWorksの採用に 至りました」と三菱電機株式会社 名古屋製作所 FAシステム 第一部 コントローラ開発課 課長 綿部 良介氏は述べて います。当初、自社製のソフトを使って仮想化プラ ットフォームを構築するという案もありました。また 他社のソリューションを比較した上で、最終的に実 績のあるソリューションを採用することになり、他 社のソリューションの選択肢はありませんでした。 「新たにHypervisorのような技術に取り組むうえで、サポート の点からもソフトウェアのベンダは1社にまとめた方が良いと も考えました」(綿部氏)
MELIPCは、VxWorksベースのリアルタイム制御プラットフォ ーム上に、高性能なWindows OSのような汎用OSベースの汎用 アプリケーションを搭載したいという需要に対応するべく開発 されました。「Virtualization Profile for VxWorks上に、VxWorks とWindowsをゲストOSとして搭載し、両機能を統合しまし た。ゲストOS上で利用可能な機能の検証等は初めての試みで したが、ウインドリバーからVxWorksとHypervisorのテクニカ ルサポートをワンストップで提供されたことから、問題があっ た際も切り分けが容易となり、また迅速なサポートにより、期 待した結果を得ることができました」(綿部氏)
導入効果
高度なエッジコンピューティングで、製造業のデジタルトラ ンスフォーメーションを推進
三菱電機の企業理念は、「技術、サービス、創造力の向上を 図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献すること」です。 その実現に向けて、同社は製造業IoTの旗振り役として、エッ ジコンピューティングの普及に取り組んでいます。かねてよ り、三菱電機は製造業におけるIoT活用を通じた価値創出をそ のビジョンに掲げてきました。顧客の生産改革とものづくり への価値創造を実現し、顧客のビジネスにおける重要課題へ の取り組みを支援しています。
ウインドリバーは、三菱電機のIoT戦略の一端を担っており、 今後のプロジェクトでも、協力関係の継続が期待されていま す。「過去10年以上にわたりウインドリバーの製品やサービ スを利用しています。ウインドリバー製品のコアテクノロジ への信頼性は高く、安心して利用できます。サポートにも満 足しており、今後も長く利用していきたいと考えています」