クラウドコンバージェンス

Feb 24, 2022 通信

著者:Michel Chabroux/ミッシェル・シャブロウ

クラウドはここ数年で多くの変革をもたらしました。ストレージやコンピューティングへのアクセス方法、ブラウザやモバイル端末からどこでもトランザクションを実行できる方法やビジネスとの関わり方などです。例えば、携帯電話で撮った写真はどこかに保存されますし、フィットネストラッカーや銀行アプリケーション、企業のフリーダイヤルに電話したときの会話に使われる自然言語処理(NLP)、インターネット検索などを考えてみてください。ロボット、飛行機、医療機器、製造業の制御装置など、さまざまな種類のシステムを作る企業と15年以上携わってきた私の立場からすると、クラウドは重要なインフラストラクチャの一部なのです。言い過ぎでしょうか?

クリティカルインフラストラクチャのプレーヤーは、デバイスを接続してデータを取得しています。新しいサービスやソフトウェア機能、セキュリティのアップデート、新しい機能を導入し、より大きなシステムに統合しています。デバイスは、ハイパースケールクラウドからエッジクラウド、エレクトロメカニカルエッジにまたがるグローバルサイバーフィジカルシステムの一部なのです。

では、実際にデバイスはクラウドに移行しているのでしょうか?私はそうは思いませんし、少なくとも現在それは意味がないと考えています。5Gは広帯域で低遅延の接続性をもたらすと言われています。しかし、1桁台の秒数の応答時間を期待するには、まだ十分ではありません。そのため、センサーからのデータをその場で処理する必要があります。多くのデータはクラウドに転送され、処理されますが、75%はまだエッジ上で処理されています。

接続性やデータだけでなく、あらゆるシステムの重要な構成要素はソフトウェアです。ソフトウェアをデプロイしている多くの人にとって、ソフトウェアが「作って終わり」ではないことは明らかです。ソフトウェアは、開発からデプロイ、運用に至るまでを管理する必要があります。クラウドテクノロジーは、ソフトウェアの管理を容易にするために、多くのイノベーションを推進しました。そのようなテクノロジーの1つが、大規模な拡張を可能にした「コンテナ技術」です。

さて、コンテナというと、理解されていないことが多く、また、さまざまな誤解もあります。コンテナは特定の問題を解決するために導入された技術です。私は、Googleの「コンテナとは、アプリケーション コードに、ソフトウェア サービスの実行に必要な特定バージョンのプログラミング言語ランタイムやライブラリなどの依存関係を加えた軽量のパッケージ」という定義がまさに完璧だと思っています。

コンテナ技術の最も直接的なメリットは、ミッションクリティカルなシステムにおけるソフトウェア管理の課題に対応したソリューションを提供できることです。実際、企業はすでにこの技術をIT側で使用しており、ほとんどの問題を解決しています。残されたのは、デバイスエッジのラストワンマイル(最後の接点)をつないで、エンド・ツー・エンドのクラウドベースのインフラを構築することです。


遠回りに感じるかもしれませんが、だからこそウインドリバーは2021年に、Open Container Initiative(OCI)に準拠したリアルタイムOSであるVxWorks(Wind River Studioの主要コンポーネント)用のコンテナエンジンを導入したのです。そして、既存のインフラストラクチャ(Kubernetesなど)、ツール、プロセス、ワークフローを使用し、機能的に安全なインテリジェントデバイスに適用することができるようになりました。つまり、VxWorksやLinuxのアプリケーションを、あらゆるITシステムと同じ構成でデプロイ・管理することができるようになったのです。(ここでは、VxWorks用のリアルタイムコンテナがLinux上で動作するとか、しないとかを言ってるわけではありません。)

なぜそれが重要なのでしょうか?クラウドコンバージェンスは、標準規格(OCI仕様はオープンでCNCFによって管理されています)、既存のインフラ、そして最も重要な人間の知識と経験を活用することによって、コスト削減を実現します。これらの変化は、デジタルトランスフォーメーションへの道のりのステップとなります。

VxWorksコンテナエンジンは、ミッションクリティカルなソフトウェアの厳しい要求に応えるためにゼロから設計されました。OCIイメージランタイムディストリビューション仕様に準拠しています。DO-178C DAL Aまで認定されるように設計されており、すべてのオプションを含めても400KB未満です。

次回は、ウインドリバーがどのようにハイパースケールクラウドを利用して、デジタルフィードバックループを推進し、テストオプションを増やすことができるのかについてご紹介します。