
ボーイング787:型式証明取得までの長い旅路の終わり
投稿者:Joe Wlad, 2011/09/26
本日、ボーイング社は最新鋭旅客機「ボーイング787」の1号機を全日本空輸(ANA)に納入し、技術、環境、経済性の面で偉業を達成しました。GEアビエーション・システムズ社の社長兼CEOであるロレイン・ボルシンガー氏は、本日のプレスリリースの中で「787ドリームライナーをANAおよび世界に届けるうえで、787のパートナー各社が果たした役割を称えるよい機会」だとコメントしています。われわれウインドリバーは、ボーイング787計画のサプライヤチームの一員であることを大変誇りに思っています。ウインドリバーのVxWorks 653 OS環境によって、アビオニクスプラットフォームの小型化、軽量化、低消費電力化が可能になりました。それにより、航空会社の運用コストの削減が図られます。
ボーイング787の型式証明の取得は長い道のりでした。787の生産や型式証明の遅れをめぐる課題ばかり注目されてきた面もありますが、この航空機の革新性を理解することが重要です。787は過去に型式証明を受けた航空機の中で、最も燃料効率が高く、技術的に高度な航空機です。どれほど多くの新技術が787に組み込まれているかを考えれば、一部で期待されたよりも型式証明のプロセスに長い時間がかかったのは無理のないことです。787の主要な特徴は、複合材を多用した機体構造(アルミ製部品の多くを置き換え)、圧縮空気システムの排除、高効率の主翼設計、統合化アビオニクス(軽量化とソフトウェアの再利用を実現)などが挙げられます。
これまでボーイングは、民間航空機の技術レベルを引き上げては、ライバルメーカーがついてこられるか挑んできました。ボーイングの設計の歴史を振り返ると、常に航空機設計の先陣を切ってきたのがわかります。707型から747型まで、ボーイングは大きなリスクを負いながら、航空機の新技術に投資してきました。1968年には多数の取締役がボーイング747への投資に強く反対しました。生産に対応するには工場の新設が必要でした。性能目標をクリアできるエンジンの設計を経営破綻せずに実現するために、エンジン設計はエンジンメーカーに依頼しました。事実上ボーイングは747の成功に社運を賭けたのです。当初の成果は前途有望とはいえず、むしろ最悪の状況でした。
747の1号機が製造ラインを離れる際は、エンジンが間に合わず、転倒を防ぐために、パイロンからコンクリートのおもりを吊りました。型式証明を取得して、パンアメリカン航空による運航が始まると、状況は好転しましたが、それも1973年にアラブの石油禁輸が勃発するまででした。当時747を運航する航空会社の大半は、航空機の駐機を余儀なくされました。他の航空会社もボーイングに747の発注を延期またはキャンセルしてきました。ボーイングは経営不振に陥り、民間航空機産業の終焉もささやかれました。1974年には、ボーイングの市場価値は在庫に抱えるボーイング747機の価値を下回りました。その頃に楽観的な投資家がボーイング株に1,000ドル投じて、その株を1989年まで持ち続けていたとしたら、50,000ドルという莫大な利益を手にしていたはずです。航空機産業は滅びませんでした。それどころか、人々の予想をはるかに凌ぐ成長を遂げたのです。
同じことが今日にも当てはまると思います。最新鋭のボーイング787には多くの課題がありましたが、787と民間航空機産業の未来は明るいと確信しています。787以降も、ウインドリバーが提供するVxWorks 653は120社のアビオニクスメーカーに採用されており、現在世界中で45以上の航空機にインストールされています。ボーイング787の成功が継続するとともに、効率、信頼性、技術のレベルアップを促す新たな航空機計画が登場することを期待しています。


