インテリジェントエッジの
原動力 インテリジェントエッジの原動力
コネクテッドインテリジェントシステムの
原動力となるリアルタイムOS

リアルタイムOSの新たな可能性

数十年にわたり、サーバー、PC、ノートPC、携帯端末を動かしてきた私たちのOSは、生産性を高めるアプリケーションからAIまで、豊富なアプリケーション要件を効率的にサポートしてきました。しかし、今、デバイスはエッジに移行しつつあります。

これまで使用してきたシステムは、必ずしもエッジで高度な機能を発揮できるものではありません。例えば、高度に自動化された組立ラインでは、部品の目視検査が自動化され、エラーや異常がないかリアルタイムで撮影・分析されます。同じ組立ラインでも、ロボットアームがリアルタイムで反応し、部品をピックアップして組み立てたり、外観検査システムで不良と判定された部品をリダイレクトする必要があります。建設用の自律走行車には、前方の物体を検知して衝突を回避したり、走行経路を変更する機能が必要です。電力網では、停電や需要の急増に伴い、負荷の移動経路を変更し、バランスを取ることが必要になる場合があります。

Windows、Linux、Mac OSなど、ノートパソコンに使用されている従来の汎用OSでは、組込みシステムにおける精密な要求、スモールフットプリント、極めて低いレイテンシ、持続的なアップタイム、ハンズオフパフォーマンスなどを満たすことはできません。

このような機能を実現するためには、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)が必要です。RTOSは汎用OSと異なり、決定論的、つまり期限を重視し、出力に一貫性があります。オペレーションタスクに設定された優先順位に基づき、実行をスケジューリングします1

ロボット、産業機器、エネルギー管理システム、自律走行車、宅配ドローン、その他のサービスや機能など、今日のエッジアプリケーションは、インテリジェンスを必要としています。また、これらのエッジシステムには、ミリ秒やマイクロ秒の応答時間を超えるレベルの精度と、人手を介さない24時間体制の完璧なパフォーマンスが要求されます。

AEETimes/Embedded.comが発表した調査によると、開発者の過半数が組込みプロジェクトにRTOSを採用、または採用する意向があることを示しています2。42%がオープンソースRTOSを採用しており、この数は将来49%に増加すると予測されます。また、24%が商用RTOSを使用しており、この数字は今後の取り組みにおいても変わらないでしょう。RTOS は、プロプライエタリとオープンソースの世界の両方にまたがっており、開発するプロセスや製品の要件に応じ て、それぞれに利点があります。

商用RTOSは、内蔵のリアルタイム機能、堅牢なソフトウェアツール、将来のメンテナンスのしやすさ、技術サポートなどを提供します。オープンソースのRTOSは、開発者が迅速に活用できるビルディングブロックコンポーネントを提供します。これにより、インテリジェントな接続環境をサポートするアプリケーションの構築とデプロイのプロセスに、構築済みコンポーネントを活用した新たな局面が加わっています。EETimes/Embedded.comの調査によると、開発者の10人に9人近く(88%)が、組込みシステムプロジェクト内でコードを再利用していることが判明しました。また、63%の開発者は、以前のプロジェクトで使用したハードウェアを再利用しています。

ウインドリバーのコンピュータサイエンティスト、Maarten Koningは、次のように述べています。「我々はより大きな部品とそれらを組み合わせて、システムに統合することができる統合プラットフォーム機能を持つことを重要視しており、結果、得られるペイロードやシステムを簡単にデプロイすることができます。一度だけあるいは何度も、クラウドネイティブシステムにより簡単にデプロイすることができます」

「汎用のOSでは対応しきれないリアルタイムアプリケーションがあります。予測可能な使用量の急増には対応できますが、予期せぬ事態が時々発生します。平均的なケースでは素晴らしいパフォーマンスが得られますが、アプリケーションによっては、最悪のケースに対応できるようにシステムを設計しなければなりません。そこで、リアルタイムOSの出番となるわけです。
 
—Maarten Koning
ウインドリバー、コンピュータサイエンティスト
Maarten Koning