高性能と省スペースを兼ね備えた最上位機種「e-RT3 2.0」は、信頼の
横河電機株式会社(以下、横河電機)は、計測・制御・情報をテーマにビジネスを展開し、長年培った技術で市場をリードする企業です。FAで得た経験とノウハウを軸としたPLC市場への参入は成功を収め、後発ながら市場で大きな地位を獲得しています。成長の源は、常に新しいコンセプトを市場投入することで、更にPLCとは異なるプログラミング文化に対応するコントローラ「e-RT3」を誕生させました。VxWorksに対応する最上位コントローラ「e-RT3 2.0」にも、斬新なコンセプトが詰め込まれています。
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FAの技術をPLCに展開
世の中で最も進んでいる産業界に優れた製品を提供したい――。横河電機は、こうした思いでプラント制御やFA分野に足跡を残してきました。FAコンピュータ分野では約30年間、第一人者として存在感を維持。その後、安価な製品の登場してきたFAコンピュータから、PLC分野へと軸足を移すことになりました。
PLCに参入したのは1989年。3年後には、世界最小のレンジフリーコントローラ「FA-M3」(後のFA-M3R)を発売するなど、PLC市場に新しい視点からさまざまな商品を提供しています。中でも、「機能ブロック」と呼ばれるプログラム構造体の概念や、短時間のスキャンタイムを保証する「センサコントロール」機能は、同社が初めて提案した機能として、PLC業界で広く認知されています。
横河電機 IA事業部 システム事業センター PLC企画 佐藤 智義氏は、次のように話します。
「元々FAコントローラをやってきた技術者が主体となってPLC事業を立ち上げたことが、われわれの独自性であり、強みです。ラダー言語しかなかった市場に、構造化プログラミングの概念を持ち込み、お客様のニーズにこたえることができました。そして、e-RT3によりコントローラの第二の柱を築きました。」
また、オープン化への取り組みも、PLC市場への参入以来変わらない文化です。同社は、市場で主流になりつつある技術をすべて取り込む方向で製品企画を行っているといいます。さらに、最低限の部品を提供して、顧客が自由に残りの部分を作ることも許容しています。自由なカスタマイズ、オープンな開発環境、そしてネットワークという3つをオープンにすることが、同社がめざす真のオープンを表現しています。
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| 図1:製品名「e-RT3 2.0」 |
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| 図2:飛躍し続ける”e-RT3” |
VxWorksの選択は信頼性と顧客の声から
高性能化するPLCは、VMEを置き換える存在としても注目されるようになってきました。ところが、一般的なPLCは、ラダー言語を使用して開発する必要があります。既存のVMEボードなどで使用しているプログラムはC言語で書かれていることがほとんどで、スムーズかつ低コストな移行を実現できないことが課題でした。
つまり、一般的なPLCのアーキテクチャでは、コントローラを変更する際に発生する、既存のプログラム資産を流用して移行コストを抑えたいというニーズや、これまで使ってきた信頼性の高いVxWorksを継続して利用したいというニーズにこたえることができなかったのです。
横河電機は、FAでの経験を生かすことで、そうした顧客の声にこたえられる製品を開発しました。2001年、FAコントローラでリアルタイムOSを使用してきた経験を詰め込み、リアルタイムOSのアーキテクチャに適したVxWorks対応のCPUモジュール「RTOS-CPU」を発売しました。
これを成功に導いたのは、マルチCPU構成を可能にする技術です。当時、多くの企業では、装置設計にあたり、自製ボードとPLCをどちらも組み込む仕様にしていました。こうした装置のコントローラ移行にあたって、RTOS-CPUとシーケンスCPUモジュールをマルチCPU構成で使用することで、省スペースで顧客ニーズを充たすことのできる装置制御を可能にしたのです。
「製造装置に組み込む製品ですから、小型で、省電力であることが必要です。従来なら自製ボードとPLCが必要だった装置が、われわれの技術でひとつのコントローラとしてまとめられることになるわけです」(佐藤氏)
最上位機種「e-RT3 2.0」の登場
RTOS-CPUの成功を受けた2004年、同社は「eMbedded M@chine-Controller e-RT3」を発表。それまでは、明示的な「C言語プログラミングコントローラ」という愛称で、市場に浸透していきました。2007年、その最上位機種として「e-RT3 2.0」が登場しました。e-RT3 2.0では、CPUにPowerPCを採用し、性能を2倍以上にしながら、従来機種より小型にすることに成功しています。
佐藤氏は、「VMEやCompact PCIは、筐体のサイズが大きいですし、ファンもあって電力を消費します。e-RT3 2.0はわれわれの最上位機種。これで必要十分な性能を得られる分野は多いはずです」と話します。
もちろん、リアルタイムOSは、VxWorksに対応しています。
「高い信頼性を求める分野で使われる機種ですから、サポートがしっかりしていて、実績もあるVxWorksに対応しています。お客様からもVxWorksに対応してほしいという多数の声が届いていたことも、数あるリアルタイムOSの中からVxWorksを選んだ背景にあります」(佐藤氏)
すべてを1つのコントローラで実現したい
e-RT3 2.0は、CPUモジュールに直接接続できるインタフェースを搭載し、ボトルネックになることが多い通信制御をリアルタイムに近づける工夫がされています。また、お客様独自のカスタムモジュールを容易に開発できる仕組みを用意しているため、差別化できるコントローラに仕上げることが可能です。カスタマイズしたハードウェアと最適なミドルウェアとの組み合わせにより、たとえば高機能・高性能・高速性を求められる画像処理などの分野で威力を発揮することが期待できます。
半導体製造装置であれば、e-RT3 2.0にグラバーモジュールと位置決めモジュールを実装し、カメラを接続することにより、ウエハのズレに対して、画像処理からアラメントまでの一連動作をe-RT3 2.0だけで行うことが可能となり、制御システムの省スペース化、低消費電力化を実現することが可能となります。
さらに、開発期間の短縮も期待できそうです。ハードウェアとリアルタイムOSのサポートをすべて横河電機とウインドリバーで担当できるため、顧客となる装置メーカーはアプリケーション開発に専念できるのです。
佐藤氏は、「製造装置の中の制御・情報処理・演算処理の部分をひとつのコントローラで実現し、お客様の要求をすべて充たしたいですね」と話しています。




