高信頼性のある長期供給組込みシステムを実現する「C言語コントローラ」を支えるウインドリバーのテクノロジー
三菱電機株式会社の汎用シーケンサ製品「MELSEC-Qシリーズ」に、ユニークで挑戦的な新製品が登場しました。2006年6月に発売された「C言語コントローラ」がそれです。この製品を利用すると、組込み開発の現場で使われているC言語を、そのままFA分野で実績のあるシーケンサ環境に適用することが可能。C言語をシーケンサ用のラダー言語に移植することなく、高度な処理を実行するアプリケーションを信頼性が高い長期供給のシーケンサ環境にそのまま移行することができます。ウインドリバーのテクノロジーをフルに活用するC言語コントローラ。製品開発プロジェクトのメンバーに、採用の経緯とウインドリバーとの協業について伺いました。
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シーケンサの信頼性/耐環境性とC言語プログラミングの融合
三菱電機がC言語コントローラの開発を構想し始めたのは2002年ごろのこと。当時、C言語でプログラミングし実行する環境をシーケンサで実現するための組込みコントローラと言えるものがなく、このようなコントローラに対するお客様からの要求が高まっていました。 三菱電機株式会社 名古屋製作所 開発部 コントローラ開発グループ マネージャー 小林毅 氏は、「FAで培ってきた高い信頼性・耐環境性、優れたネットワークや豊富な製品ラインナップといったシーケンサの良さを、半導体製造装置などの組込みシステムに携わっているお客様に広く知ってもらいたいという思いがありました」と話します。
これら、半導体製造装置などの使用分野では、いわゆる“工場文化”が薄く、論理回路を記述することに長けたラダー言語よりはむしろ、慣れ親しんだC言語で開発したいという要求が高まっていました。もちろん、シーケンサの信頼性と耐環境性は必須条件でした。
この現状を一気に解決しようというのが「C言語コントローラ」の開発テーマです。C言語環境をそのまま移植でき、シーケンサと同レベルの信頼性/耐環境性を実現する。それも、できるだけ低価格に。三菱電機のチャレンジが始まりました。
長期安定供給と使いやすさ、そして万全のサポート体制で展開
C言語コントローラの開発にあたって三菱電機は、十分な信頼性/耐環境性に加えて、使いやすさと安心を提供するという目標も掲げました。
使いやすさという面では、ユーザーがハードウェアを意識することなく、アプリケーションだけを改変して機器を使用することを可能にしています。そして安心。三菱電機は、部品のライフサイクルに影響されることなく、MELSECという定評あるブランドの下、長期間安定供給を実現してきました。
また、サポート面においても、サポート体制を盤石なものにするとともに、製品そのものの機能強化、さらには使い勝手の徹底的な追及を行いました。サポート部門のC言語コントローラのサポート体制整備と、十分な教育、さらに、製品そのものの機能強化や実績を十分に積み重ねて成熟させた上で、2006年6月の一般発売へと至ったのです。
ウインドリバーの開発ツールを使うとさらに便利に
三菱電機株式会社 名古屋製作所 開発部 コントローラ開発グループ 専任 井上直丈氏は、C言語コントローラが標準の統合開発環境としているウインドリバー製「Tornado」(現在、その後継製品であるWind River Workbenchが出荷されています)とあらかじめ実装されたRTOSの「VxWorks」を高く評価しています。
C言語コントローラの開発作業では、開発用PCとC言語コントローラをEthernetで接続し、専用ソフトでパラメータ設定を行います。ウインドリバーのテクノロジーによって、これらの作業をシンプルに実行できるようになるのです。
「ほかの組み込みOSをベースにすると、開発環境を作る際に専用機器が必要になります。C言語コントローラは専用機器が不要。開発環境を作る手間がかかりませんから、プログラム開発を迅速に始められます。また、デバッグ環境の構築なども極めて容易です」(同氏)
さらに、通信ドライバはあらかじめ実装済み。OSもVxWorksがプリインストールされていますから、ユーザーはこの部分を改変する必要がなくなります。実際に行うのはユーザーの目的を実現するアプリケーション開発となりますが、ここでTornadoを利用。プログラムの動作解析をビジュアルに行う機能などを提供することで、プログラム開発を大幅に効率化できます。
なお、開発したアプリケーションは、コピー&ペーストする感覚で容易に再利用し、別の機器へと展開することが可能です。
柔軟なライセンスモデルをウインドリバーと共同開発
三菱電機株式会社 名古屋製作所 開発部 コントローラ開発グループ 専任 都築貴之 氏は、「VxWorksは、信頼性の高い組み込みOSでありながら、OSとアプリケーションを分けて考えられるのが素晴らしい」と語ります。そもそもVxWorksはC言語コントローラに出荷時から組み込まれており、そこに後からユーザーがアプリケーションを追加できます。
アプリケーションの開発作業には原則的にTornadoを使いますが、C言語コントローラの製品出荷にあたり、三菱電機とウインドリバーは新しいライセンスモデル”System Integrator Model”をリリースしました。これはC言語コントローラ専用の開発環境として”Industrial OEM Tools”と呼ばれるTornado、Windview(タスクの状態遷移図をGUIで可視化するツール)、SNiFF+(Cソースコード解析ツール)が含まれた開発環境を、ウインドリバーがユーザーに販売するものです。
小林氏は、「こうした新ライセンスモデルのすりあわせから開発サポートまで、ウインドリバーにはお世話になりました」と語ります。
強い信頼関係で結ばれた三菱電機とウインドリバーによって、C言語コントローラは今後もユーザーに安心と使いやすさを提供しながら、製品としてもさらに進化を遂げていくことになるでしょう。




